キハ31


 キハ31形気動車は国鉄最末期となる1986年(昭和61年)から翌87年(昭和62年)にかけて、JR化後の1988年に新造された3両を合わせ計23両が九州向けに製造された形式です。九州は勾配のきつい山岳の非電化区間が多いこともあり、キハ31には徹底した軽量化が図られています。車体はステンレスとし、車体長を従来の標準(20m)より短い17mにすることで相対的に出力を高めています。加えて、これもまた徹底した製造費のコストダウンが図られておりまして、バス用の部品を用いたり、すでに廃車となった車両の一部を多用しているとのことでした。

 さて、当鉄道会社に所属するキハ31形気動車の話です。初代キハ31-6は某メーカーさんのキットを完成させて2001年に入線しましたが、その後レジン製の屋根がS字形に変形。車体を破損するという大惨事となり泣く泣く廃車に...。数年後、気を取り直して今はなき東京堂モデルカンパニー製のキットを完成させて今日に至りますが、これら2両は経年で変形することなく、無事に営業運転ができております。

 

 僕は過去に久大本線を利用した際、キハ31に数多く乗車しております。大分駅がまだ地上駅だった頃、8番線で久大本線上りの大分始発の各駅停車を待っているとキハ31が2両で入線してきます。暑苦しい夏の夜、列車に乗り込むと車内は鳥肌が立つかというくらいキンキンに冷えていて、車内は排気ガスの匂いがかすかに立ち込めていました。今にして思えばこの雰囲気、キハ31独特のものでしたね。

 キハ31は他系列の気動車ともよく連結し、運用されていました。黄色い気動車キハ125との併結はここ大分では当たり前のように見られ、他にもキハ40・47、キハ58・28・65との併結が記憶に鮮明です。キハ31はステンレスボディですから、他系列と連結しての走行シーンはその姿がよく目立ちました。ちなみに外見上の変化として、やがてJR所属車すべての前面にスカートが装着されることになります。 

 これも随分と前のこと。ある用事で久大本線の由布院駅から南大分駅までキハ31を利用したことがあります。夜遅いこともあり車内はガラガラ。車内は冷房でキンキンに冷えていたので時期は真夏ですね。長いロングシートに座って揺られること約30分。体が冷えたこともあり少々尿意を催しました。ちょっとトイレを借りるべいかと立ち上がった瞬間、キハ31にはトイレがないことに気がつきました。こりゃ仕方ないわな、と再び腰を落ち着けましたが、トイレがないとわかると逆に行きたくなるのが人情(?)ってもんですな。幸い激しく催したわけではないので南大分駅まで我慢でき、列車を降りてから駅舎の隣にあるトイレで用を足せました。しかし、たとえ長距離でなくても、ローカル線の運用でトイレなしはキツイものがあるな、とその時感じた次第であります。そういえばある時期、久大本線賀来駅の時刻表を見たら、トイレ付きの列車には赤い印がついていたことを思い出しました。いくら鉄道車両として優れた性能をもっていたとしても、乗客の使い勝手が悪ければ評価を下げてしまうかもですね。

 トイレのない列車ということが致命的かどうかはわかりませんが、キハ31形気動車は2019年(平成31年)3月のダイヤ改正でその運用を終え、全車廃車解体となりました。23両のうち1両(キハ31−20)はくま川鉄道に譲渡され活躍していましたが、2013年(平成25年)に運用を離脱し、いち早く廃車解体となっています。

 かつてキハ31とも組んだ黄色いキハ125。今もなお大分地区でも元気に活躍しています。(全車立派なトイレ付き)列車に揺られながら、キハ31にもトイレがあればもっと長生きできたのかなあ、などと思う今日この頃。(老朽化でムリか...。)






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