415系1500番台


 415系1500番台は1986年(昭和61年)、日本国有鉄道の末期に製造された形式です。415系と名乗る通り、先輩である0番台や100番台鋼製車と併結可能な交直流両用の近郊型電車です。僕が彼らと出会ったのは、たしか運用開始の翌年、1987年の春でした。当時の僕は大学生。春休みに実家のある福岡県の行橋に帰省していたのですが、小倉に遊びに行こうと国鉄行橋駅で待っていたところ、やって来たのはステンレス車体に明るい青色の帯をまとった4両編成の電車だったのでした。今でも覚えています。「うぇ〜、なんて都会的な電車なんだろう!」 これが初めて乗車した時の感想でした。それまでセミクロスシートの電車ばかりに乗り慣れていたのですが、この度はロングシートでしたからね。「ロングシートの電車とか去年の夏に乗車した山手線103系と同じやん!」などと興奮しつつ、小倉に向かったのでした。

 その後、僕は2000年(平成12年)まで北九州を仕事の拠点としていたこともあり、415系1500番台に乗車する機会が数多くありました。当初から、鋼製車に比べて軽やかな乗り心地を感じていましたが、実際にステンレス車体となって軽量化に成功していたのですね。それと当時は415系の併結8両編成なんてざらでしたから、当たり前だったステンレス車と鋼製車の併結も今となっては懐かしいです。うわ、思い出したっ。1996年(平成8年)、知り合いの女性と二人で日豊本線下曽根駅から小倉駅に向かう際、1500番台4両目最後尾のクハ運転室に隣接する2人掛けロングシートに座っていたら、検札に来た車掌さんがなんとその女性の弟さんだったのでした。(偶然! その後、ほどなくして彼は運転士さんになっています。)お互いの親同士が知り合いで、どうやら僕らを結婚させたかったみたいですが...。今になって思えば、身内にJR九州の運転士さんがいたら、きっと夢のような人生になっていましたね。(爆) もったいないことをしたかも...。(ここは小声)

 2024年(令和6年)現在、415系鋼製車はすべてが運用から撤退し、本線上でその活躍を見ることができなくなってしまいました。JR東日本に残っていたステンレス1500番台も全編成が引退してしまい、JR九州に残る1500番台が唯一となってしまいました。車齢はすでに37年を超えて引退もそう遠くない将来にやってくるのでしょうが、それでも昭和・国鉄の香りを残すステンレスの415系がここ九州でいつまでも活躍できるよう願わずにはいられません。



分オイ Fo1510編成

 2024年(令和6年)の時点で415系ステンレス車は全編成が大分車両センター所属車(分オイ車)となっています。そこで、分オイ415系1500番台をなるべく現状の姿に近いものにするべく、トミックス品番92248 415系1500番台九州色1編成が改造を受けるために当社の工場に入場しておりました。この度無事に作業を終えて出場しましたので、ご紹介いたします。

入場前の姿
 

 まずは前面を改良していきます。助手席側上部に編成番号が入る関係上、作業に入る前にあらかじめ当編成をFo1510とすることに決めました。さっそく、両端のクハに「Fo1510」を貼り付けます。前面ガラスは簡単に取り外せましたので、車体側に番号を貼り付け、実車同様にガラス越しに編成番号を眺めるようにしました。また、ワイパーを黒く塗装して装着しています。製品ではその表現が省略されているわけですが、黒地をバックに黒色なのでたしかに目立ちませんね。それでもワイパーはあったほうが個人的には好ましいですね。次に1500番台トイレなしクハにはジャンパ栓がついています。外から赤、黄色、青と着色しますと、よりリアルな外観となりました。そうそう、行先表示幕は僕の生まれ故郷の小倉にしましょう。

クハ415 1510
 

クハ415 1610
 

 次は屋根に手をつけます。415系のJR九州車はもともと屋根に並んでいたベンチレーターが撤去されていますので、その状態を再現します。まずはベンチレーターをすべて外して、やすりで平坦にした後にパテ埋めします。そして最後に塗装。実車通りに撤去跡がわかるように仕上げています。

ベンチレーター撤去前
 

ベンチレーター撤去後
 

撤去後の穴をパテ埋め
 

 

 パンタグラフの周囲は少々力を入れました。パンタグラフ集電舟の左右のヘリに赤を色差し。集電舟支え装置の前後角も同様に軽く赤で色差し。碍子の着色・サビの表現なども行いました。

 次に作業は車体側面に移ります。ごく小さなパーツなのですが、運転室ドア下部計4ヵ所に取っ手をつけました。車体表記に関して、所属を表す「分オイ」が実車では青文字になっていますので、それも再現します。トイレ窓を白く塗装し、トイレタンクも装着しました。

  
 

 製品の状態では幌がなく、かつアーノルトカプラーなので連結面がスカスカに感じられます。そこで幌を装着したうえで密連のTNカプラーに換装。これで連結面がぐっと実感的になりました。

 最後に窓ガラスの表現です。実車通りにステッカーを貼り付け、客室ドアの窓はこれも実車通りにスモークガラスを表現しました。本当はクーラーをWAU709タイプに換装したかったのですが、現状単品で販売されていないために入手が不可能。今回は泣く泣く見送りました。(T_T)

 これでいったん完成とします。大分をねぐらにする分オイ415系ステンレス車、とても愛着がわきます。(北九州市から大分市に移り住んだ僕は、いわば「本モコ」から「分オイ」に標記変更があったようなものですので。(笑)) 僕は日常的に大分駅を利用していますが、それでも415系ステンレス車にはそんなに会うことがありません。模型を眺めながら、久しぶりに乗車して、あの軽やかな走りをもう一度体感してみたいな、と思いますね。そうだ、このFo1510を415系鋼製車と並べたり、連結させたりして楽しもう!! ああ、それにしても鉄道模型って本っ当〜にイイもんですねぇ〜〜。(これはもはや現実逃避...)








  inserted by FC2 system