キハ183系 1000番台



 頃は昭和の末期。この頃は日本がバブル景気に沸き立ち、各地にリゾート地が開発されて観光需要が飛躍的に伸びた時期でもありました。鉄道史に重ねますと国鉄からJRへの移行期となりますが、各地に誕生したジョイフルトレインがその世相を反映していると思います。1988年(昭和63年)、九州に登場したキハ183系1000番台ですが、外観・デザイン共にジョイフルトレイン的要素が満載です。量産されず1編成のみの存在ですしね。同列車の登場から現在までの「6変化」をNゲージで振り返ります。

オランダ村特急

 長崎県に開園した「長崎オランダ村」へのアクセス、そしてそのPRとして運用するために登場したのがこのオランダ村特急です。先頭車ですが、運転席が2階にあって1階部分は展望室となっています。165系ジョイフルトレインのPEA(パノラマエクスプレスアルプス)によく似ていますね。外装はオランダ国旗をモチーフにしているそうです。門司港と佐世保とを結びましたが、鹿児島本線内は485系電車との協調運転を行っていました。登場時は3両編成でしたが、後に中間車が1両追加製造されて、以降はずっと4両編成を保っています。


ゆふいんの森U世

 1992年(平成4年)からキハ183系1000番台は久大本線を走るリゾート特急「ゆふいんの森」に転用されることになります。中間車にあったキッズ向け空間「ぷれいらんど」を一般の座席へと改装し、展望室座席はミニバーに改装されています。車体色はキハ71系気動車「ゆふいんの森I世」と同様、メタリックグリーンに金帯を配したものになっています。個人的にはこの塗色が一番好きですね。


シーボルト

 ゆふいんの森U世としての役目を終えたキハ183系1000番台ですが、1999年(平成11年)からは大村線を走る特急「シーボルト」として長崎〜佐世保間を走ることになります。外観はオランダ村特急によく似た配色となっていますが、車体側面に大きなロゴが入りました。


ゆふDX(デラックス)旧塗装

 特急シーボルトは2004年(平成15年)、古代漆色を身にまとったゆふDX(デラックス)に姿を変えて大分に転属し、再び久大本線上に復帰します。先頭の展望車は通常の座席となり、割り増し料金(たしか200円)を払って乗車できたと記憶しています。進行方向の展望車のみ客扱いをしていました。これは座席の回転ができないためですね。この塗装の時代、一度だけ自由席に乗車したことがあります。


ゆふDX(デラックス)新塗装

 2008年(平成20年)、ゆふDXはその外装を山吹色(プレミアムイエロー)へと変更します。僕が実車を見たのは大分駅。派手な塗装変更に度肝を抜かれました。(といいますか、古代漆色がとても落ち着いて見えましたからね。キハ185系ゆふと並んでもそんなに違和感がありませんでしたし。)そのままずっと久大本線を走って欲しいという僕の願いもむなしく、キハ183系はまたまた姿を変えて熊本に転属していきます。


あそぼーい!

 2011年6月、ゆふDXは観光特急「あそぼーい!」として運用に就きはじめます。外観を大きく変え、白と黒のツートンカラーに犬のキャラクター「クロちゃん」のイラストが散りばめられた側面、これはお子さま向け列車なのかっ、と思うのもそのはず。JR九州車両デザイン顧問の水戸岡氏によりますと「子ども専用特急」がこの列車のコンセプトであるとのこと。なるほど納得です。さて、このキハ183系1000番台。製造から34年を経ても人気列車としてまだまだ現役であるというのはスゴイことだと思います。この姿のままいつまでも子どもたちの笑顔を運んでもらいたいものです。








  inserted by FC2 system