両毛線の70系



 僕は九州出身なのですが、幼少期は群馬県前橋市で過ごしました。そして僕が大の鉄道好きとなる原風景は子供の頃に見慣れた国鉄前橋駅と前橋〜駒形間の複線区間を行き交う湘南色の115系と165系、スカ色の70系なのです。家族で上野動物園や交通博物館に出かけるときには165系上野行きの急行あかぎに乗車し(帰りはいつも115系前橋行きでした。)、小山ゆうえんちに出かけるときにはスカ色の70系をよく利用しました。僕にとって湘南色とスカ色の電車は少年時代の楽しく、懐かしい思い出と常にリンクしています。家族で小山ゆうえんちに出向いた際に乗車したことある元グリーン車クハ77は、そのふかふかした座席の座り心地がとても気持ちよくて、子供心にわくわくしたのを今でも覚えています。

 

 小学校三年生の時で、ちょうど梅雨の時期でした。小雨がパラパラ降る中をいつもの通学路ではなく、大好きな電車が見たくて両毛線の線路沿いの静かな小道をゆっくり歩いて家に帰っていました。線路脇の柵にところどころに咲いている紫陽花、その葉の上の小さなかたつむりを電車が来るまでじっと観察していました。やがて踏切の警報が鳴り、通過する70系スカ色電車。僕の記憶の中ではあたかも昨日の情景のように鮮やかに蘇ります。


今では前橋駅は近代的な高架駅となり、僕が電車を見た区間は複線のまま高架化されています。僕が歩いた小道は拡張工事に際し、舗装されて立派な道路になりました。もはやあの頃の面影はどこをさがしてもないように思います。模型で再現して当時を懐かしむしかありません。

 
 

 現在、国鉄前橋駅を模型で再現すべく作成中です。高崎発小山行きの70系が1番のりばに停車している姿を思い描きつつ、完成を目指しています。



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