播但線のキハ41

 平成10年(1998年)3月。播但線の寺前駅〜姫路駅間が電化開業しました。ここは今でも古豪103系電車が元気に走っている区間なのですが、一方輸送密度の低い和田山駅〜寺前駅間については非電化のまま残されました。電化当時、主に非電化区間の運用に就いていたのはキハ40系で、両運転台のキハ40形と片運転台の2両編成で運転されるキハ47形とがありました。

 さて、新造時から単行でも運転可能なキハ40形と最小2両編成単位で運転されるキハ47形にはそれぞれ両運転台・片運転台という差異があるわけですが、もう一つの形態上の特徴があります。それは客室ドアがそれぞれ片開き扉と両開き扉になっていることです。現在、主に単行で運用されている播但線の名物気動車、キハ41形の側面をみますと客室ドアが両開き式になっておりまして、このことからキハ41の種車がキハ47形であることがわかります。

 

 キハ41形は沿線の輸送力を考慮して、非電化区間である寺前駅〜和田山駅間用にキハ47形1000番台の妻面に運転台を増設して両運転台化したものです。もともとトイレがついていない車両だったので、トイレ(と水タンク)を備え付けて2000番台を名乗りました。全5両が改造を受けて誕生し、キハ41 2001〜2005となって全車が福知山電車区豊岡支所に配置されています。調べてみますと、キハ41形は播但線内だけでなく山陰本線(豊岡駅〜鳥取駅間)での運用もあるみたいですね。  

 

 それにしても造設された運転台側の前面はかなり個性的ないでたちですよね。この運転台はもともとの車体に新たに製造した切妻式前面鋼体をくっつけており、鉄道ファンからは平面顔、食パン顔といった呼ばれ方をされているようです。しかし、よく観察してみますと元祖ヨンマル顔と同じ位置に前照灯・尾灯が設置されていますね。また、運転台の配置も元祖ヨンマルのものと同様にしているのだとか。おそらく、車内から運転台を観察しても違和感は感じないかもしれません。

 キハ41形は当初、地域色としてワインレッド色(播但線色?)を身にまとっていましたが、平成14年(2002年)から数年をかけて全5両に体質改善工事が実施されて後、車体塗装も順次朱色5号(俗にいうタラコ色)に塗り替えられています。(個人的にはキハ40系に一番よく似合っている塗色だと思っています。)それにしてもこの平面顔、どこかで見たことがあるなぁ、とずっと気になっていましたが、ある時ふいに思い出しましたよ。映画「鉄道員(ぽっぽや)」に登場するキハ40形改造のキハ12 23! ちょっと似ていませんか?(あちらは平面顔ではありませんでしたが。(笑))

 播但線の難所、生野峠をヒーヒー息を切らして登るキハ41を動画サイトで観ました。老体に鞭打って一生懸命走る彼らの姿を観ますと、つい応援したくなりますね。キハ41の末永い活躍を心から願いたいと思います。




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