憧れの東海道新幹線

 1964年(昭和39年)に東海道新幹線が開業しました。この年は東京オリンピックも開催されて日本は何かと活気に満ちた時期だったように思います。夢の弾丸列車、新幹線はたちまち当時の子どもたちの心をつかみ、憧れの対象になりました。僕は開業翌年の昭和40年生まれなのですが、物心つく前からおもちゃの0系新幹線が大のお気に入りだったらしく、外に出る時も手に握っていたそうです。アルバムにその頃撮影した写真がありますが、部屋に線路が敷かれていまして、たしかに僕は0系新幹線を持っています。これ、還暦も近づいた今の自分と寸分も違わぬ姿です。(爆)

 今年のゴールデンウィークは連日晴天に恵まれましたが、どこにも行かず大人しく自宅で過ごしました。もちろん、何もせずにだらだらと過ごしたわけではありません。任務(すなわち所有するコレクション達の手入れ)をしっかりと遂行しております。今回の全般検査は「歴代の東海道新幹線」と車種を決めました。車両ケースから取り出し、久しぶりの対面です。

0系

 1964年の登場から2008年に引退するまで、0系は新幹線のイメージであり続けた車両だと思います。丸みを帯びた前面のフォルムは「団子鼻」といえばダサい感じではありますが、当初の呼称である「弾丸列車」にピッタリのイメージですよね。昭和生まれの僕は、今もなお新幹線といえばこの0系を思い起こします。それにしても16両のフル編成にしてみると、Nゲージとはいえ迫力を感じます。カッコいいな。車体の汚れもなく、モーターも問題なし。全検クリアです。


100系

 100系は国鉄末期の1985年(昭和60年)から製造され、順次運用に入っています。その外観の特徴はなんといっても先頭車と2階建て車両にあると思います。「シャークノーズ」と呼ばれた前面は0系に比べて精悍な顔つきになりました。模型を眺めていてもスピード感あふれる優れたフォルムだなと感じますね。見た目も大事ですが、機能面でも走行時の空気抵抗や騒音の軽減に役立っていると聞いたことがあります。個室グリーン車、展望に配慮した2階建て食堂車など見どころ満載ですが、僕が実車に乗車できたのはたったの一度。しかも普通車自由席のみ。本当に残念でなりません。模型を手にしていろいろな感慨にふけりましたが、手入れはしっかりと行いました。全検クリアです。


300系

 東京〜新大阪間の所要時間の短縮を目的として、徹底した車体の軽量化、騒音・空気抵抗軽減、走行の安定化が図られた車両、それが300系です。1992年(平成4年)から運用に入っていますが、西洋の騎士が身につける兜(かぶと)を思わせる前面は僕にとっては非常に衝撃的でした。後に東京〜博多間を結ぶ「のぞみ」として活躍するわけですが、約5時間という所要時間にも驚きましたね。実車には2度ほど乗車しましたが、座席の座り心地が快適であったことを覚えています。16両連結させてじっと眺めていますと、その時の記憶がはっきり蘇るから不思議です。しっかり整備を行ったあとに車両ケースへ。。


500系

 300系の登場は僕にとって衝撃的でしたが、ほどなくして更なる衝撃を受けることになります。それはJR西日本が開発し、1996年(平成8年)より製造された500系新幹線の登場です。時速320qに対応できるようにすべてが設計された車体は、それまでの新幹線がまとった塗装のイメージを一新しましたが、そのロケットのような外観も相まって「未来の新幹線」を予感させるものでした。小倉駅で初めて実物を見た時には、うぉ〜すげぇ!と思わず声をあげてしまいました。あまりにスマートでカッコよくて驚いたのですね。一度だけ東京発ののぞみで小倉まで乗車したことがありますが、車内は天井が低く少々圧迫感があって残念ながらあまり好きになれませんでした。(※あくまで個人の感想です。)山陽路では時速300キロを超えると運転士さんのアナウンスがあったような...。記憶違いかな? などと考えつつメンテナンス終了。全検クリア。


700系

 1999年(平成11年)、それまでの主力であった0系・100系を置き換えるために700系が運用を開始しています。この頃になりますと新製車の先頭形状の観察が楽しみの一つになりますが、この700系についたあだ名は「カモノハシ」。後から知ったのですが、この形状はトンネル内の走行をよりスムーズにするために車体幅いっぱいに水平の張り出しを設けた結果だったそうです。それにしても秀逸なあだ名だなと思いました。(笑) 団子鼻と呼ばれた0系新幹線同様、愛嬌のあるその顔つきには親しみを覚えた方も多いのではないでしょうか。フル編成を見ていますと、何だか駅のざわめきや女性声のアナウンス、ホームの発着音が聞こえてくるようです。700系、全検クリアです。


N700系

 てっきり僕は700系が新幹線の最終進化型かと思っていましたが、なんのなんの。新幹線はさらなる進化を遂げるのでありました。高速性と快適性という一見矛盾する性能を共に向上させる目的で開発が進み、2007年(平成19年)からN700系の営業運転が始まりました。ちなみにNは「New」「Next」を表しているそうです。例によって先頭車の観察ですが、僕はかなり個性的だなと感じていました。ノーズ部分は700系より1.5m長くなり、その形状はワシが翼を広げたように見えることから「エアロ・ダブルウイング」と呼ばれているそうです。なんだかカッコよくてすごいですね。ちなみに模型は車両間の全周幌を再現しておりまして、実車の雰囲気が良く伝わります。


N700A(系)

 2013年(平成25年)、700系の置き換えを目的にN700A系新幹線が登場します。これはN700系のマイナーチェンジ車で、安全性と安定性にさらに環境配慮を加味しているそうです。たとえば座席のクッションを再生可能な材質にしたり、LEDを多用したりと今どきな車両なのですね。N700系とは側面ロゴが異なる以外には外観上の大きな差異はないと言われています。ちなみにAは「Advance(進歩)」の略だそう。うーん、まだまだ新幹線は進化を遂げそうですね。


N700S(系)

 N700系(初期車)の置き換えを目的に2020年(令和2年)から導入、運用を開始した系列です。ちなみにSは「Supreme(最高級)」の略だとか。さて、例によって前面の観察ですが、一見これまでの新幹線と変わらないのかな、などと感じていましたが、左右両サイドにエッジを立てた「デュアル・スプリーム・ウィング」という形態になっています。これ、模型でもしっかりと再現されています。トンネルの走行時にかかる抵抗を軽減し、かつ騒音を軽減させる役割りがあるのだそうです。これはもう、僕の理解の範囲を超えてしまっております。(汗)車内は曲線を多用したデザインだとか。一度は乗ってみたいもんです。当鉄道会社に導入後間もないため、全検は省略して車体の拭き掃除のみ。


ドクターイエロー(923形)

 ドクターイエローとはその塗装から来た俗称ですが、正式には「東海道・山陽新幹線用新幹線電気軌道総合試験車」となるそうです。700系をベースに2000年(平成12年)に登場しました。運用については具体的な情報が事前に出されないため、出会うと幸せになれる、なんて言われていますよね。JR東海のHPによりますと、幸せの黄色い新幹線は約10日に1度だけ本線を走行するそうです。





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