横須賀・総武快速線


 東京から九州に帰るために寝台特急富士に乗車。夕暮れの東京を出発してしばらくは山手線や京浜東北線と並走します。しばらくしますと、おや? いつの間にか横須賀線の電車が隣を走っていて、鉄道好きの田舎者にはたまらない瞬間でした。なんたって僕にとって、模型にそっくりな(笑)実物の電車たちが目の前に現れては消えるうえに、東京近郊の路線の複雑さが感じられて非日常を味わえる至福の時だったのですから。時をさかのぼること1980年(昭和55年)。横須賀線と総武快速線は東京地下駅でつながり、その年の10月1日より直通運転が始まりました。横須賀・総武快速線は113系からE217系、そしてE235系へとバトンが引き継がれ、今もなお日々通勤通学の足として都会の人々の生活を支えてくれています。

113系

 横須賀・総武快速線の直通運転開始当初から運用に就いたのが113系近郊型直流電車でした。僕はオレンジとグリーンの湘南色が大好きですが、クリーム色と青のツートンカラーも幼少期に見慣れた両毛線の70系を思い起こさせ、どこか懐かしさと親しみを感じたものです。15両(時に11両)の長大編成で走る姿は実に圧巻で、模型で再現してもその迫力が再現でき、いつまでも眺めていられます。カッコイイなあ。

 113系快速は1999年(平成12年)暮れに運用を終了し、横須賀・総武快速線から撤退します。実車が存在しない今、模型で再現して当時を偲ぶことができるのはホントに嬉しいことですね。(^^)

 そうそう、113系に2両組み込まれたグリーン車です。当初は他系列車改造の「化けサロ」もありましたが、一時期2階建グリーン車のサロ124が組み込まれたことがありましたっけ。


E217系

 E217系はそれまで横須賀・総武快速線を走っていた113系の置き換えを目的に新製された形式です。近郊型電車初の4扉車、しかも個性的で斬新な前面デザイン。E217系は多くの鉄道ファンの期待を受けて登場し、1994年(平成6年)より同線の営業運転に入りました。113系時代とは異なり、グリーン車は当初から2階建て車両を2両連結して定員増を図っています。4扉車は3扉車よりも通勤時間帯の乗降に好都合で、この仕様は利用客に好評を持って迎えられたようです。E217系は次第に増備され、やがて1999年(平成11年)には113系を完全に置き換えることになったのでした。

 113系、115系、165系の東海顔を慣れた昭和生まれのオヤジからすれば、今ではすっかり見慣れたE217系の顔も当時は大きな衝撃で、正直言いますと好きにはなれませんでした。しかし面白いもので、模型を購入してその姿を眺めていますと、東京出張の際に出会った彼らもなかなかイイ味を出しているように感じました。

E235系(1000番台)

 E235系1000番台はE217系の置き換えのために新造された形式で、2020年(令和2年)末より横須賀・総武快速線で営業運転を開始しました。それにしても車両製造の進歩は目覚ましく、この系列には架線・線路設備・車両機器のモニタリング装置が備えられ、蓄電池により停電時には最寄り駅まで走行可能な非常用走行装置を完備、また客室内監視カメラが設置される等々...。さまざまな新機軸が盛り込まれた進化系近郊型電車なのでした。

 調べてみますと、E235系開発のコンセプトは「人と対話する車両」で、キーワードは「お客さま、社会とコミュニケーションする車両」だそうです。なるほど、このE235系は乗客にしっかり寄り添い、しかも社会との関わりを大切にする電車ということなのでしょうか。次の東京出張の際にはぜひ乗車したいもんです。

 それにしてもクリーム色と青ツートンの横須賀色。一つの路線のイメージカラーとして若干色調を変えながらも世代を超えて引き継がれるってイイですね。そう思いながら113系、E217系、E235系をフル編成の15両で並べ、しばし眺めるのでありました。





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