高崎115系 エンディングストーリー

 2018年(平成30年)、全車湘南色をまとった高崎の115系がその役目を終えて姿を消しました。「湘南色115系最後の楽園」とよばれたこの地域の115系が全廃となったことが僕はいまだに信じられません。僕の鉄道好きの原点、それは昭和40年代に両毛線(前橋〜駒形間)を走っていた70系、165系、115系にあります。湘南色115系に未練たらたらの僕ですが、今回は高崎115系最後の日々をひとり静かにNゲージで振り返って見たいと思います。

高崎115系とツーショット

 勾配線区に強いといわれた115系電車の製造開始は1963年(昭和38年)で、まずは宇都宮運転所(当時)に34両が、ついで新前橋電車区(当時)にも68両が投入され、それまで活躍していた80系電車を淘汰しました。手元の資料によれば、1964年(昭和39年)時点で宇都宮所に132両、新前橋区に68両が配置されたようです。ここに高シマ115系の誕生を迎えました。基本4両編成の両開き3扉、セミクロスシートの最新電車は当時の通勤・通学客からずいぶんと歓迎されたようですね。その頃の115系は大型前照灯(通称:デカ目)の0番代でした。

115系0番代

115系0番代

 115系製造から10年後の1973年(昭和48年)には、冷房装置を搭載し、ユニット窓を採用した300番代が登場します。僕が前橋に住んでいたのは昭和43年から昭和49年なので、0番代と300番代、旅行の際には共にお世話になったと思います。

115系300番代(左)と0番代(右)の並び

 そして1977年(昭和52年)、シートピッチを拡げて耐寒耐雪構造を強化した1000番代の登場です。従来のモハユニットに加え、先頭車クモハを製造することで、短編成化による地方線区運用も柔軟にこなせるようになりました。以降、115系は使用線区の実情に合った改造、改装、塗色の変更等を受けることになります。

クモハ115、モハ114、クハ115からなる高シマ3連

 さて、かつて僕がお世話になった新前橋電車区(高シマ)の115系ですが、211系の新造による経年車の置き換え、1991年(平成3年)に高崎線・東北本線を中心に運用する7両基本編成を小山電車区に移管したことにより、その数を減らしていくことになります。以降は4両と3両の短編成のみの所属になり、やがて1000番代車のみで統一されることになります。

 晩年の4連と3連

 2005年(平成17年)、新前橋電車区は高崎車両センターと名称を変えます。それに伴い車体所属表記が高シマから高タカに変わりました。この段階ではまだまだ115系は信越線、上越線、両毛線などで元気に働いていましたが、11年後の2016年(平成28年)に4連編成の廃止の日を迎えることになります。その時点でモハユニットを持った4連は9本、貴重なサハをつないだ4連が2本(サハ115-1007(T1044編成)、サハ115-1019(T1059編成))ありましたが、残念なことにいずれも廃車の対象となりました。

 T1044編成(手前)とT1059編成(奥)

 T1133編成(ぐんまちゃん ラッピング車)

 T1144編成

 T1145編成

 

 最晩年の高崎115系は3両編成×10本までその数を減らし、北関東で最後の活躍を見せていました。それにしても終焉の日まで半世紀以上にもわたって湘南色を維持した、というのはある意味奇跡だったのかもしれません。

 

 また、晩年は前面の種別表示幕がすべての編成で緑色に塞がれてしまいました。ある情報筋では盗難防止ということですが、これが事実だとすればとても悲しいことです。

 2018年(平成30年)3月のダイヤ改正をもって115系高崎車の定期運用は終了しました。そしてラストランは同月21日の団体列車「ありがとう115系ツアー」になります。前面には「ありがとう115系」のヘッドマークを掲げ、先頭車の側面にラッピングを施したT1022とT1032の両編成が充当されました。当日はあいにく雪模様の天候となりましたが、雪に強い115系の最後の花道に相応しいように僕は感じました。

 

 

 役目を終えた115系たちは高崎車両センターを中心にしばらくの期間、留置されていました。個人的には115系発祥の土地に1編成くらい静態保存してもらいたかったですね。結局、未更新車のT1040編成はEF64 1031号機に牽かれて長野へ、他の編成は新潟の仲間、L99編成に手を引かれて廃車回送されていきました。

  静かに回送の日を待つ115系たち

 EF64がT1040編成を迎えに来ました。これから長野に向かいます。

 パンタグラフを外されたモハ114-1040

 長野に向けて出発

 新潟からL99編成が迎えに来ました。L99編成に導かれて10両編成で帰らぬ旅へと出かけます。

 こうして高崎の115系はその役目を後輩の211系に託して姿を消してしまいました。楽しかった幼少時代の思い出がたくさんつまった群馬の115系電車がなくなってしまった今、僕は模型でその姿を偲ぶことができる幸せをかみしめています。これからは北関東で活躍する211系を精一杯応援したいと思います。

 がんばれ211系!

 




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