懐かしの421系・423系



 決して目立つ存在ではないけれど、日々地味に通勤・通学客を運ぶ電車にも僕は大きな魅力を感じています。昭和49年暮れ、7年ぶりに故郷の北九州市に帰って来た僕を迎えてくれた電車の中にローズピンクを身にまとった421系がいました。昭和50年、小学校3年生から4年生まで通った清水(きよみず)小学校の校庭のすぐ横に国鉄日豊本線が走っていて、休み時間になれば鉄道好きの複数の友達と校庭に出て、ブロック塀に身を乗り出しながら行き交う列車の運転士さんに手を振っていたのでした。

 当時から僕は相当な鉄道好きで、早く下校した日や用事のない日曜日には父親のカメラを借りて、当時住んでいた家の最寄り駅である南小倉駅周辺に電車の撮影によく出向いておりました。線路沿いの金網にカメラを持ってへばりつく僕は、たまたま通りかかった小学校の先生から「危ないよ」と注意を受けたこともありましたねえ。頻繁に通過する421系は格好の被写体でした。

  
  
昭和50年 南小倉駅周辺で撮影した421系たち。窓の開き具合から春〜夏頃だと思います。

 さて、1960年に鹿児島本線門司港〜久留米間に投入された421系は九州内の近郊形電車の先駆けでエポックメーキング的な車両でした。1964年からは電動ユニットを出力増強した423系が世に出て通勤通学の足として大活躍しました。一時期、421・423系は後輩の415系と共に鹿児島本線、日豊本線等で活躍していましたが、経年変化もありとうとう全車引退してしまいました。営業運転終了後、大分周辺では423系の留置車を多数目にすることができました。

大 分 駅 構 内 に て

   ( 平成13年5月に撮影 )

 大分駅構内には2編成が連結されて留置されていました。左の写真は下り側の編成でデカ目ライトのクハ421(車番不明)。右側の写真は上り側の編成でクハ421-81 。

牧 駅 構 内 に て

    ( 平成13年4月に撮影 )
  ( 平成13年4月に撮影 )

 大分電車区(当時)の隅っこ、牧駅ホームの真ん前にひっそりと423系1編成がたたずんでいました。上左の写真は大分寄りのクハ421-79 。上右の写真は高城寄りから見たところ。クハ421-80。乗務員室の窓が割れていて板でふさいであります。痛々しいです。

別 府 駅 構 内 に て

    ( 平成13年5月に撮影 )

 別府駅構内にもホームに挟まれた留置線に2編成が留置されていました。下り方、大分寄りにはデカ目ライトのFo-39 編成があります。左の写真はクハ421-78。右はクハ421-77。風雨にさらされボロボロです。

    ( 平成13年5月に撮影 )
   ( 平成13年5月に撮影 )

 上り方、中津寄りにはシールドビームのFo-37 編成が留置されていました。左上はクハ421-74 。右上と下はクハ421-73 。Fo-39 編成同様ボロボロ。

大 分 駅 〜 牧 駅 間 に て

  ( 平成13年5月に撮影 )

 大分駅から電車区へ向かう途中の側線に423系1編成が留置されていました。写真はクハ421-99 。隣の赤い485系も懐かしい。

 古いものが淘汰されていくのは仕方がないことだとは思いますが、幼い時からの馴染みの電車の廃車は正直寂しい気がします。きらびやかで快適な列車群の影でひっそりと活躍していたこれらの車両に愛着を持っているのは恐らく僕だけではないでしょう。もう、こうなったら彼らを鉄道模型(Nゲージ)で偲ぶことにしましょう!





inserted by FC2 system