国鉄前橋駅ジオラマ制作記(15)完結編

 1番のりばを出発する桐生行き115系

 数年にわたり掲載してまいりました「国鉄前橋駅ジオラマ製作記」ですが、今回をもちましていったん完結とさせていただきたいと思います。このシリーズに最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。それではさっそく始めるといたしましょう。

「3番のりばご注意くださ〜い。回送列車が入線いたしま〜す。」おや?これは時刻表には載っていない列車ですね。それもそのはず、駒形方より入線してきたのは電気機関車EF15形の単機回送でした。どうやらこれから高崎機関区に戻るようです。前橋と新前橋の間は単線ですので、きっと行き違い待ちの停車でしょうね。

 

 3番のりばに停車した単機のEF15

 戦後生まれの貨物専用機、優雅さと力強さとを兼ね備えたEF15形のデザインにうっとり見とれていますと、再び構内放送です。「1番のりばを貨物列車が通過しま〜す。危ないですから白い点線の内側にお下がりくださ〜い。」おっ、新前橋方からやってくる貨物列車の通過ですね。牽引機は高崎機関区のEF12です。一瞬ではありますが、EF12形とEF15形の共演が実現いたしました。

 1番のりばにEF12牽引の貨物

 白黒写真でパチリ。カッコイイ!

 EF12形の歴史を調べてみましたが、製造された17両すべてが戦前生まれなんですね。最晩年は上越線、両毛線、吾妻線を中心に活躍したようですが、思いのほか長生きで、同地域の貨物輸送が廃止となる昭和57年頃まで活躍したみたいです。模型で見てもEF15形同様、本当に力強く美しい姿でほれぼれしてしまいますねえ。

 EF12形牽引の貨物列車が通過後、しばらくしてEF15形もホームを去っていきました。つかの間の静寂のあとに再びアナウンスが流れます。「お待たせいたしました。2番のりばに上野行き急行、あかぎ号が入りま〜す。ご利用の方は階段を渡って2番のりばにお越しくださ〜い。上野までの停車駅は、新前橋、高崎、本庄、深谷、熊谷、大宮、赤羽となりま〜す。」 さあ、いよいよこれから真打の登場です。前橋駅を発着する優等列車の165系急行あかぎがやってきます。

 165系急行あかぎ 上野行き

 個人的な感傷で恐縮ですが、2番のりばに停車中の急行あかぎを眺めていますと、子どもの頃に感じた興奮が今でも蘇ります。当時、僕は通過駅がある列車をとてもカッコよく感じていたのでしょうね。もちろん、上野動物園や交通博物館に行ける楽しみもありましたけど。急行あかぎにまつわるいろいろな思い出に浸りながら、しばらくじぃーっと情景を眺めておりました。あの頃は貧乏だったけど幸せだったなあ...。

 そんな感慨にふけっておりますと出発の時間となり、発車のベルが鳴り響きます。「急行あかぎ上野行きが発車しま〜す。お見送りの方はホームからお願いしま〜す。」やがてベルが鳴りやむとドアが閉まり、あかぎ号は上野に向けて走り出しました。

 急行あかぎ、発車!

 165系は急行型電車に分類されますが、両毛線では各駅停車としてローカル運用も担っていました。(桐生発の普通列車で前橋から急行あかぎに、という運用もありました。)しばらくして1番のりばに桐生行き165系3両編成の各駅停車が到着、乗客を乗せると足早に駒形へ向かいました。

 やはり僕は165系電車が好きですね。各駅停車であれ、快速であれ、急行であれ、車内にずらりと並んだボックスシート。とても旅情を感じます。Nゲージの模型とわかっていても、ついその姿に見入ってしまいます。 

 

 

 話は変わりますが、国鉄末期には前橋駅に185系の入線がありました。当初は急行あかぎとして165系との併結も見られたようですね。最初の頃は絵柄のヘッドマークではなく、白地に赤の「急 行」の文字が書かれていたように思います。(これは前橋駅の開業に間に合いませんでした。(苦笑))

 さて、そろそろ前橋駅を後にすることにいたしましょう。たくさんの列車が見れて、とても楽しく有意義な時間を過ごすことができました。さまざまな電車たちを駅の姿とともにカメラに収めましたので、最後にそれらを並べて終わりにしたいと思います。旧前橋駅をご存知の方が少しでも当時の思い出に浸っていただけたのなら、製作者としてこれ以上の喜びはありません。拙い作品に最後までお付き合いいただき感謝いたします。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

国鉄前橋駅ジオラマ制作記  完 




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